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『Beyond Good & Evil 2』の世界観を見事に描いたMARI活用事例

Image Courtesy of UNIT IMAGE

Unit Imageはどのような手法でルックデベロップメントを成功に導いたのか

世界最大のゲームイベントE3 2017で、Ubisoft社の新作『Beyond Good & Evil 2』のトレイラーが多くの来場者の脚光を浴び、同社のプレスカンファレンスでは、 涙を流す観客も見受けられました。

15年近く前にMichel Ancel氏によって紡ぎ出された独特のSF世界観により、カルト的名作と評された前作『Beyond Good & Evil』を知る人であれば、驚くことではないでしょう。

トレイラーの予期せぬ公開は、続編に関する情報を待ち望んでいたファンの間に、熱狂を巻き起こしました。

Texturing a universe- Beyond Good and Evil

この注目を集めるシネマティック映像の制作を担ったのは、パリに拠点を置くアニメーションスタジオ、Unit Imageです。

その制作背景について、創立者のMaxime Luère 氏、Rémi Kozyra 氏、Léon Bérelle 氏、Dominique Baudoin 氏に話を伺いました。

独創的世界観をテクスチャリング

Unit Imageはコマーシャル、フィルムゲーム業界向けのCGI / VFX制作を専門に手がけていますが 、ルックデブアーティストが独創的世界観をゼロから作り上げることを求められるケースが増えてきたと言います 。「最近のトレンドでは世界観を重視する作品が多く、登場するキャラクターとその世界を結び付け、情緒的で感情移入しやすくする傾向が強まっており、『Beyond Good & Evil 2』のトレイラープロジェクトにおいては、テクスチャリングを含むキャラクター 制作パイプライン拡張の好機と捉えることができました。」

キャラクターやそれを取り巻く背景の作り込まれたディテールが示すように、風変わりで魅力的なキャラクターが多種多様に存在する独特な世界構築には、膨大なテクスチャリング作業を要しました。

こうした精細なディテールは、高解像度デジタル3Dペインティング/テクスチャリング ツールセット Mariを使用して表現されています。

34年前からMariを使い始めました。超高解像度テクスチャのペイントが可能で、使い勝手も非常に良いツールです。」

Beyond Good & Evil 』のゲーム世界はきわめて巨大で、登場するキャラクターも非常に複雑ですから、制作の過程でいくつもの大きな課題に直面しました。キャラクターについては、擬人化されたキャラクターのリアルな視覚的表現や、その個性をどう描くかについて検討を要しましたし、アナトミーについても多くの検証を必要としました。」

Beyond Good & Evil trailer

「背景ついてはローポリのアセットでショット構築してからディテールを作り込んでいます

キャラクターのメイキングには基本的にMariを使用しており、やわらかなスキン表現にはディスプレイスメントテクスチャを、他にもオートバイの排気口のヒートエフェクトには、エレメントのズームレベルに合わせてカラーやテクスチャを変更し、ブランドロゴの模様にもMariを使用しています。」

このプロジェクトにおいて思い通りのルックを実現するうえで鍵となったのは、大量のテクスチャマップを効率良くしっかりとハンドリングできたことです。

何百もの高解像度テクスチャマップをタイル化して扱うことができるMariUDIMワークフローが非常に便利でした1ストロークで複数マップに対しての一括ペイントが可能で、ペイントを施してから2Dモードに切り替えて個々のマップに修正を加えていきました。「UDIMを活かすために多くのツールセットを検証し、多数のレイヤーとマスクをインスタンス化しながら作業を進めました。」

3Dオブジェクトに直接ペイントできる機能に加え、UVベースの2D作業も可能なため効率的です。」

アーティストのクリエイティビティを刺激する

厳しい予算状況とさらなる短納期化進む変化の激しい今日のVFX業界においては、コストの節減と制作時間の短縮がパイプライン選択のカギとなりますが、ともすればアーティストのクリエイティビティを最大限に引き出すという最も重要な視点を見失いかねず、クリエイティビティを妨げないツール選択が必要となります。

Unit Imageはこの両方を実現するツールセット、Mariを採用しました。創立者の一人は次のように言います。「Mariのような効率的なツールで制作時間を短縮すれば、その分素晴らしいコンセプトやアーティスティックな演出、クリエイティブなアイディアに集中することができます。」

VFX Beyond Good and Evil - made with Mari

さらに、手早く容易にアイディアを表現できるパワーと柔軟性が、アーティストのクリエイティブな可能性をよりいっそう広げてくれます。「 レイヤーとマスクのインスタンス化機能は非常に滑らかで使いやすく、特に気に入っています。」

「また、MariではPython APIを利用できますので、利便性も十分です。」

Mariはプロシージャルツールではないので、高度な技術を要するソフトウェアというよりも、アートワークのためのソフトウェアだという認識を持っています。一言で言えばクリエイティブかつアーティスティックな表現を可能にしてくれるツールです。」

Beyond Good & Evil 2』のトレイラーは、クリエイティブ、アーティスティックの両面から、傑作であることは間違いありません。フォーラムやインターネットの掲示板は、同作品のリリースを待ち望む声であふれています。

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