Ae Watan Mere WatanにおけるVFX: FutureWorksが再現した歴史上の出来事
1940年代のボンベイを現代へ
歴史上の出来事を再現するには高レベルなリアリズムの追求とデータが必要とされ、FutureWorks制作の映画タイトル"Ae Watan Mere Watan"では舞台となる1940年代のボンベイをリアルに再現することが大きな課題となった。ここではFutureWorksがストーリーに命を吹き込むため、Katanaのパワーと柔軟性をどう活用したのか紹介しよう。
このフィルムはDharmatic EntertainmentがAmazon Prime向けに制作したヒンディー語の作品で、イギリスのインド支配を終わらせる運動の一環として地下ラジオ局を作った若いインド人女性、Usha Mehtaを描いた実話だ。
FutureWorksのシニアVFXスーパーバイザーAshoke Choudhury氏、アソシエイトVFXスーパーバイザーGouri Shankar氏、CGリードPramod Khairnar氏に、この映画の最も重要なシーンをどのように作成したのか話を聞いた。
1940年代再現への挑戦
FutureWorksは1942年のインドの街をリアルに再現することに重点を置き、約10ヶ月に及ぶこのプロジェクトで、800以上のショットを完成させた。制作チームは図書館のアーカイブから古い新聞や写真を素材として使用したが、当然それらは白黒で質は良くなかった。チームの仕事はこのルックをフルカラーフィルムへ変換し、これが過去の正確な描写であることをディレクションチームに保証することだった。
最も難易度の高かったシークエンスは、マハトマ・ ガンジーが有名な"Quit India"の演説を行い、国の独立のための戦いに火をつける、この作品において極めて重要なシーンだ。


時代を決定づけた演説が行われたゴワリア・タンク・マイダンを再現するため、チームは別の場所でほぼ360度のグリーンスクリーンを使ってプレートを撮影し、これを現代のショットとブレンドした。信号機、バス、車などをクリーンアップし、歴史的な建造物や古い路面電車の軌道、群衆シミュレーションなどのCGアセットを追加した。
Katanaであれば解決できる
「Katanaパイプラインの導入は、シーンのスケールと複雑さを管理する上で不可欠でした。"Katanaを導入する以前のMayaワークフローでは、このような大規模なシーンに対応できませんでした」 こう話すのはアソシエイトVFXスーパーバイザーのGouri Shankar氏だ。
CGリードのPramod Khairnar氏は、KatanaのGraph State Variablesの重要性をさらに強調し、次のように続けた。「Katanaは、このような巨大なスケール、高解像度アセットやジオメトリを含むシーンでの使い勝手が特に優れています。一例ですが、マスターシーンファイルのライティング設定を、すべてのショットに対し、一度で適用することができました」。
Katanaのスケーラブルなアーキテクチャのおかげで、チームは歴史的なルックの再現に関わる膨大な量のデータを簡単に扱うことができた。シニアVFXスーパーバイザーのAshoke Choudhury氏は、次のように話す。「Katanaは他のライティングアプリケーションよりも読み込みが速く、どこにもラグが生じません」。
Nuke Bridgeの活用
Katana の Nuke Bridge は、この作品で非常に重要な役割を果たした。ライティングチームがコンプチームとクリエイティブなアイデアを交換できるようになり、マルチショットワークフローでは、チームがマスターライトをセットアップをしておけば、シーンのすべてのショットに対して繰り返し使うことができる。
「Nuke Bridgeは本当に役に立ちました。ライティングの段階で、ショットにコンポジターの視点を取り入れることができました」と Ashoke 氏は説明する。
Nuke Bridgeは、映画の最後のシーンであるボンベイ駅で特に役立ちました。Mehtaが刑務所から釈放される場面を描いたこのシーンのリファレンスプレートは、現代の都市郊外にあるBandra駅で撮影され、後に元の駅がCGで作成されました。
夜間のショットでは、高いところから通りに出るまで、非常にゆっくりとカメラが移動します。スピードが遅いということは、最高品質以外のアセットはスクリーンでバレてしまうため、アセットのディテイルに妥協できないショットです。
Ashoke氏は次のように語る。「Katanaを使用すると、ライトの強さや向きのイテレーションがはるかに高速かつ簡単になり、Nuke Bridgeによるプレビューが大いに役立ちました」。
シームレスなパイプラインと納期
Katanaは既存パイプラインに簡単に組み込むことができる。FutureWorksがこのプロジェクトで厳しいポストプロダクションスケジュールを守ることができた主な要因と言えるだろう。チームはアセット構築段階から最終ライティングまでKatanaを使用した。
「KatanaをShotGridパイプラインに統合することで多くの冗長タスクを解消し、クリエイティブな側面にもっと集中できるようになりました」と Ashoke 氏は話す。「すべてのアセットが同じリファレンスにあれば作業がずっと楽になります。各アセットが別々にMayaファイルに読み込まれるのではなく、最初からアセットを承認することができました」。
KatanaがFutureWorksのパイプラインにしっかりと組み込まれたことで、スタジオは昨今の複雑なレイヤーを持つ大規模シーンの処理にも対応できるようになった。
「アプリケーションの制限に縛られることがなくなり、より複雑なプロジェクトやCGを多用するプロジェクトにも対応できるようになりました。」とGouri氏は話を締めくくった。
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