『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤』のダイモン制作におけるMariの活用

BBC/©️ Bad Wolf/HBO: His Dark Materials

Framestore、Mariを活用してベストセラーファンタジー小説をドラマ化

古典傑作の映画化には数々の困難が伴うものだ。50以上ものリアルなクリーチャーを再現するともなれば、まったく新たな課題と向き合う事になる。『黄金の羅針盤』のTVドラマシリーズ『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤』の制作を手がけたFramestoreのリードテクスチャアーティストStephanie Dube氏に、こうした課題に対する取り組みについて話を聞いた。

Golden Monkey Daemon

リアルなダイモンの再現

『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤』の主要CGIの一つであるダイモンは、人間の「内なる自己」が動物の形をとって現れたものだ。作品に欠かせない要素であり、ファンの間でも人気が高いため、リアルでかつ違和感なく作品に溶け込ませることがきわめて重要だった。

Dube氏は次のように話す。「本物の動物と見紛うようなリアルなダイモンを再現するのに苦労しましたが、オンライン上で視聴者からのフィードバックを見る限り大成功だったようです。撮影に本物の動物は使っていないと言っても、ダイモンがすべてCGだと信じてくれない人と議論になったこともあります」。

Quote Image His Dark Materials

この作品のユニークな点は、ボレアル卿の蛇が登場するショットで本物の蛇を使った以外は、撮影中に生きた動物を使わなかったことだ。その代わりに、ぞれぞれのダイモンの代わりとなるパペットが用意され、キャストのリアルな演技を引き出すため、さらにはカメラクルーやVFXチーム向けのリファレンスとして使用された。Dube氏やテクスチャリングチームにとって、完全CGIによるダイモンの再現は刺激に満ちたものだったという。「観客が本物だと信じて共感できるように、与えられた時間枠の中で、クリーチャーのリアリズムを最大限に追求したいと思いました」と語る。

His Dark Materials Puppet Gif

厳しい制作スケジュール

クリーチャーの制作に加え、通常、映画に比べて大幅に短いTVドラマの制作スケジュールへの対応も必要だった。

「再現しなければならないCGクリーチャーの数が膨大でしたから、必要な作業量をどうこなすかを考える必要がありました。幸い、短納期制作の経験はありましたから、非破壊的で、迅速な修正やタッチアップが自由に行えるパイプラインとワークフローを開発することができました」とDube氏は説明する。

Mariの活用は、制作スケジュールを効率的に管理してリアルなダイモンを完璧に再現することに貢献した。

「クリーチャーのペインティングに関しては、やはりMariは圧倒的に効率的なソフトウェアではないかと思います。タイリングが容易なTriplanar Projectionは、クリーチャーの大きさやUVに関係なくチャンネルを再利用できるので、非常に役立ちました。さらに、チャンネルをエクスポートできるので、アセット間、アーティスト間での共有が行え、時間の節約につながりました」。

Golden Monkey at Window

「さまざまな場面で時間短縮を図れたことで、クリーチャー制作に時間とエネルギーを注ぐことができました。中でも鍵となったのが、コールター夫人のダイモンであるゴールデン・モンキーです。デザインやモデル、衣装変更など、開発には多くの手間を要し、変更の度に迅速にテクスチャを修正する必要がありました」。

Dube氏はさらに、「Mariのレイヤー、プロジェクション、マスキング、グループ化機能は非常に役立ちました。複数のオブジェクトを読み込んでマップのテストが行えるのも助かります。最終ペイントの前にクライアントからルック承認を得るために、コンセプトテクスチャを素早く作成することできました」と話す。

それだけではない。

CGI to Puppet Gif

「レイヤーやグループといった従来のテクスチャリング手法を維持しながら、ワークフローを非破壊にすることができるのはとても便利です」とステファニーは付け加えます。つまり、一度に多くのアセットに対して、短時間で、必要に応じた変更を加えることが簡単にできるということです」。

「従来のマップのペイントと、よりプロシージャルな作業方法の間で完璧な橋渡しをしてくれます。両方の長所を兼ね備えたMariのようなソフトウェアは、他にはありません」。

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