Nuke 17.0のスプラッシュスクリーンを手がけたアーティストに迫る。
フランスのCreative Seedsで環境/CGゼネラリストアーティストを学ぶ Léo Châtel は、現在最終学年を迎えながら、Rodeo FXで初の実務経験を積んでいる。
在学中にもかかわらず、FoundryのNuke 17.0に搭載されたスプラッシュスクリーンのアートワークを手がけ、早くもその才能を発揮した。今回のArtist Spotlightでは、VFXの道を志したきっかけから、Nukeスプラッシュスクリーンの環境アートワークにおけるクリエイティブなプロセス、さらに次世代のアーティストたちへのメッセージまで、たっぷりと語ってもらった。

VFXの道を志すきっかけとなった作品やシーン、エフェクトはありますか?
はい、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の竜巻のシーンです。映画館で観たとき、一体どうやって作っているんだろうと気になって仕方がありませんでした。メイキング映像をいろいろと見ていくうちに、自分もこの道に進みたいという気持ちが固まっていきました。
VFXの仕事で、特にどのような点にやりがいを感じていますか?
やっぱりチームで作り上げていくところですね。それぞれが持ち寄ったものを組み合わせながら、自分たちの思い描くものを情熱を持って形にしていく。その先に観客を楽しませるという目標があるのも、大きなやりがいを感じる部分です。他のアーティストの作品に触れたり、制作プロセスを間近で見たり、新しい技術を知ったりと、日々発見の連続で、それがまた次への原動力になっています。

これまでに手がけた中で、特に誇りに思っているプロジェクトと、その理由も教えてください。
一番思い入れがあるのは、2年生のときに制作した『Crashed Plane in the Desert(砂漠に不時着した飛行機)』の背景制作です。モデリングからFX、コンポジットまで納得のいく仕上がりにできた達成感はもちろん、この作品がその後の大きなチャンスへとつながっていったことも、特別な思い入れの理由です。学生リールに採用されたことをきっかけに、最終的にはNuke 17.0のスプラッシュスクリーン制作という思いがけない仕事へと結びついていきました。

このプロジェクトの主なインスピレーションの源は何でしたか?
このプロジェクトのインスピレーションはSFの世界、特に『スター・ウォーズ』シリーズから大きな影響を受けています。目指したのは、重厚な工業的美学とディストピア的な雰囲気の融合です。赤、ピンク、そして青を基調とした、柔らかくもパッと目を引くカラーパレットを採用することで、色彩が持つ穏やかさと、メカニカルで無機質な造形が対比するよう意識しています。
また、Nukeの強力なツールであるDeepノードへのオマージュとして、奥行き(Depth)が持つ力を視覚的に描き出すことにもこだわりました。たとえばミストは、単に背景を隠すためのものではありません。構造物の隙間を縫うように漂い、土台を包み込み、そして光に対してボリューメトリックに反応する――そんな、空間に命を吹き込むような役割を持たせています。
リサーチやリファレンス収集はどのように進めましたか?
まずはArtStation、Instagram、Pinterestなどでリサーチを行い、アイデアを広げていきました。自分のアーティスティックなビジョンと制作要件をうまく掛け合わせるために、数ある要素の中から本当に効果的なものだけを厳選することが、最初の大きな課題でした。
また、単なる美しさの追求を超え、実世界のリファレンスを積極的に取り入れることも、制作において大切にしていたことのひとつでした。リアルな資料をもとに、光の当たり方によるマテリアル質感の変化や、複雑な機械構造を丁寧に分析していきました。すべての要素に説得力のある一貫したロジックを持たせることで、環境全体のビジュアルストーリーテリングをより深みのあるものにしたいと考えていました。

AIツールは使用しましたか?
時間のかかる一部の作業には、AIツールを活用しました。たとえば、抽象的で判別しにくいリファレンスに対しては、アップスケーリングツールで形状やディテールを確認しやすくすることで、解釈に迷う時間を減らしスムーズに作業を進めることができました。また、解像度が不足しているテクスチャにはAIツールで補正を加え、プロジェクト全体でディテールの統一感を保つようにしました。
このプロジェクトを通じて、新たに学んだことはありましたか?
スプラッシュスクリーンの制作を通じて、Nukeのスキルをさらに磨くことができました。特にDeepノードをはじめとする高度な機能への理解が深まり、ボリューメトリックデータを活用したコンポジット技術も大きく向上しました。大気感の表現やマスキング、複雑なオクルージョンの処理など、エレメント同士のインタラクションをより自然かつ精度高くコントロールできるようになったことは、大きな収穫でした。
このプロジェクトにおいて、Nukeによって解決できた具体的な課題はありましたか?
プロジェクトの序盤は、提示されたカラーパレットやインスピレーションをどう形にするか、なかなかイメージが掴めずに苦労しました。そこでまずは、コンポジションを検証するためのラフなイメージを素早く作成し、Nuke上でテストを重ねていきました。このような試行錯誤のおかげで、色味の調整やさまざまなビジュアル検証をスピーディに行うことができ、最終的には作品全体のアーティスティックな方向性をより明確に定めることができました。

今後、世界中のユーザーがNukeを起動するたびにあなたの作品を目にすることになります。ご自身の作品が採用されたことについて、改めていまのお気持ちを聞かせてください。
キャリアの現段階でこのような機会をいただけたことに、驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。これまでスプラッシュスクリーンを手がけてきたアーティストたちの歩みを思うと、なおさらその重みを感じます。この経験は、これから先へ進んでいくための大きな自信とモチベーションになっています。
Nukeの機能や特徴の中で、特に高く評価しているポイントとその理由を教えてください。
Nukeは、私にとって欠かせないツールです。特に気に入っているのは、ユーザーフレンドリーなノードベースのワークフローで、柔軟かつ直感的に作業を進められる点です。また、コミュニティによって開発された豊富なツールやスクリプトが揃っていることも、大きな魅力だと感じています。
VFX業界を目指す方々へ、アドバイスをお願いします。
今の自分の経験からお伝えできる一番のアドバイスは、好奇心を持ち続けることです。新しいツールを積極的に試したり、アーティストやスタジオの作品を追いかけたりしながら、周囲のクリエイティブから刺激を吸収していく姿勢がとても大切だと思います。また、コミュニティに参加することも非常に有意義です。Discordサーバーに参加したり、フォーラムで意見交換をしたり、チュートリアルを活用したりすることで、他のクリエイターとつながりながらスキルを高めていくことができます。

また、映画に対する理解や知識を深めることも、ぜひ大切にしてほしいと思います。映画はインスピレーションの宝庫であり、その歴史に触れることで、自分の作品にもより深みが生まれます。最新作だけでなく、時代を超えて愛されてきた名作に触れることは、自分の視野や表現の幅を広げる確かな土台になるはずです。
Léoのその他の作品はこちらからご覧いただけます。
Nuke をより効果的に活用するために、 Foundry Learn のチュートリアル もぜひご活用ください。 また、学生の方は Education ページもあわせてご覧ください。


