REALTIME、Foundryツールを活用し『ディスカバリー・オブ・ウィッチズ』の魔法の世界を再現

Image courtesy of REALTIME

観る者を魔法の世界に誘うSFファンタジー

大ヒットTVドラマ『ディスカバリー・オブ・ウィッチズ』のシーズン2が公開された。

この素晴らしいファンタジー映像の制作を手がけたのは、シネマティックなゲームトレーラーや自動車のCG制作のバックグラウンドを持ち、近年、TV のVFX制作にも進出しているREALTIMEだ。

そのファンタジーな世界観はNukeとMariを駆使して再現された。本作の魅惑的なVFX がどのように制作されたのか、またエピソード型コンテンツ制作における課題について、REALTIME のVFXスーパーバイザー兼2D部門責任者Sue Land氏とシニアモデラーのJason Swift-Clowes氏に話を聞いた。

Nuke活用のメリット 

『ディスカバリー・オブ・ウィッチズ』はDeborah Harknessの『All Souls』三部作を原作としており、シーズン2では主人公のダイアナが時を遡り魔術とその制御法を学ぶ。魔術的な要素をいかにリアルで信憑性のある表現にするかという点でクリエイティビティが必要とされた。

Land氏は、「この1年半、エピソード型ドラマのVFXとして、3匹のドラゴン、魔法、腐った果物、浮遊する卵、さらには幽霊まであらゆるものを作り出してきました。魔女はどうやって記憶にアクセスするのか、ファイヤードレイクはどうやって着地するのかといった会話が日常的にzoom上で交わされています」と話す。

VFX breakdown Discovery of Witches

本作のようなエピソード形式のプロジェクトにおいては、大量のデータやマテリアルを短期間で効率的に生成することが不可欠だ。こうした課題に効果的に対応すべく、効率的な作業進行とプロジェクトを通したクリエイティブプロセスの進化を後押しする強力なパイプラインが必要とされた。

そこで、活用されたのがFoundryのコンポジティングツールセットNukeだ。

「ロト、クリーンアップ、コンポジティング作業の全てにNukeを使用しました。浮遊する卵やスリッパに乗ったヘビのシークエンスなどのポストビズや(中略)これらの大量のパス操作も、最大限の柔軟性を求めるクリエイティブなニーズ、また便宜上の理由からNukeで行いました」

制作チームはNukeの強力なパイプラインにより、時短化のみならず組織の最大活用やデータのバージョン管理など、エピソード型プロジェクトにおいてきわめて重要な要素を実現可能なワークフローを構築することができた。

制作チームはNukeの強力なパイプラインにより、時短化のみならず組織の最大活用やデータのバージョン管理など、エピソード型プロジェクトにおいてきわめて重要な要素を実現可能なワークフローを構築することができた。

Land氏によれば、「Shotgun、Hiero、Nukeを併用し、プロダクションプロセスの日常的な作業を効率化することで、人的ミスを削減しビジュアル制作に集中することができた」という。

「エピソード型プロジェクトでは、シーズンを通してあるいは複数シーズンにわたって一貫性を保つことも重要です。特定のシーンや呪文のために設定したマスターワークフローを複数のアーティストで共有するできれば、現在および今後のシーズンにおいても、基本的な一貫性を維持することができます」とLand氏は話す。

NukeとHieroの導入によって構築されたパイプラインは、プロジェクトの最終納品までをカバーし、安定したフォーマットで他のソフトウェアにカメラをインポート/エクスポートすることが可能なため、仕上げの段階に時間をかけて目的とする美しい映像を完成させることができるが、それだけではない。

Land氏は、「Nukeの一連のキーイングソフトウェアのおかげで、キーイングの面倒な作業がとても楽になりました。また、Nukeの3D機能は本当に便利で、特にカメラトラッカーが気に入っています」と話し、さらに次のように続ける。

Discovery of witches REALTIME

「ハイエンドのVFX作品のコンポジティングでは、Nukeが業界標準であることは間違いありません。常に複数のベンダーが関わるエピソード作品では、すべてのVFXサプライヤーに共通する特定のソフトウェアパッケージが存在することは非常に合理的で、(中略)スクリプトの交換によって作業の重複を減らし、ポストでの貴重な時間を節約することができます」

ヘビのペインティング

本作で活用されたツールはNukeだけではない。クネクネと変形するヘビのペインティングに使用されたのは、Foundry社の3Dテクスチャリングペインティングツール Mariだ。 

シニアモデラーのJason Swift-Clowes氏によれば、詳細なリファレンス写真をヘビのモデルにMariで投影し、シームレスに一致させたという。

「詳細なリファレンス写真を形状の異なるモデルに投影するのは、Mariを使用しなければ難しかったと思います。複数のUDIMに渡って簡単かつスピーディにペイントできるのは、現在のワークフローにおけるMariの一番のメリットですね」とSwift-Clowes氏は話す。

細かなディテールに至るまで、ヘビのリアルなルックの実現にはMariの貢献が大きいという。

 

side-by-side discovery of witches
side-by-side discovery of witches

Paint Throughツール、キャンバスブラシ、さまざまなプロシージャルタイルを使用して、ファブリックパターンやノイズを追加しました。レイヤーを重ねることで、簡単にベーステクスチャを作成することができます」

プロジェクションの調整やマスクペイント、タイルマップを手早く適用できるMariは、ヘビのディテール表現を実現する上で最適なツールであったと言える。REALTIMEは、MariとNukeを使用してストーリーに欠かせない要素をシームレスに作り上げ、作品全体に漂うミステリアスな雰囲気の演出に成功した。

エピソード型コンテンツのニーズの高まり

「エピソード型コンテンツはストリーミングサービスならではのセールスポイントです」とLand氏が言う通り、現在、週末にまとめて番組を一気見することができるエピソード型コンテンツやオンデマンドサイトの台頭は著しい。業界が直面する状況の変化を十分に認識するLand氏は、次のように話す。

「プロダクションにかかる時間を見込んで制作委託がなされるため、現場は常に複数のプロジェクトを抱えている状況です。視聴者は常に、似たようなテーマの番組がいくつもある中から、新しい作品を次から次へと楽しむことができます」

「コロナウイルスの出現とそれに伴う世界各地でのロックダウンにより、こうしたニーズが高まっています。長編番組を見たり新しい番組を試したりといった時間が増えたことで、エピソード型コンテンツの成長と人気が加速したことは間違いありません」

エピソード型コンテンツに対する急激な需要拡大の理由について、Land氏は次のように話す。

Discovery of witches REALTIME gif

「特に昨年から、エピソード型コンテンツに対する信頼度が高まっています。コンテンツとして、エピソード型のドラマはストーリーを視覚的に深く捉えることができますが、長編映画では時間的な限界があります。(中略)以前はエピソード型に不向きであった素材も、今では短期あるいは長期にわたるエピソード型コンテンツとして理想的な表現ができるようになっています」

特にコロナウイルスの流行時において、エピソード型コンテンツは不安やストレスから逃れるための格好の手段となり、『ディスカバリー・オブ・ウィッチズ』のような作品は私たちを新しい魔法の世界へと誘ってくれる。作品の舞台裏を支えるREALTIMEのようなVFX制作スタジオのおかげで、私たちは現実を離れて魔法の世界に没入し、楽しむことができるのだ。

『ディスカバリー・オブ・ウィッチズ』のシーズン2は U-NEXT で視聴できます。

 

 

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