ストーリー開発におけるタイムラインの重要性

映画、テレビ番組、アニメーション、コマーシャルなど、あらゆる映像コンテンツのストーリー開発プロセスのスタートはアイディアだ。

プリプロダクションの脚本や絵コンテが、プロダクションでのショットの選択やライティング、役者の動きを左右し、そこで撮影された映像はポストプロダクションに引き継がれて、再びプリプロダクションをベースに、編集、VFX、サウンド、カラーグレーディングなどの作業が行われる。こうした長きにわたるプロセスを経て、見る者に語りかけるストーリーが紡がれていく。

セットの照明の位置や、編集時のフレームレートなど、プロダクションにおける小さな変更ひとつで観客のストーリーの受け止め方が変化し、ひとつひとつの選択の積み重ねが物語を作るのだ。

だからこそ、制作に携わる全ての人間がストーリーを十分に理解し、全体の流れに沿って作業が行えることが重要だ。本記事では、流れに沿った作業によってアーティストのワークフローがいかに効率化し、ショット作業で直面する課題が解決に導かれるかという点について紹介する。

流れに沿った作業

流れに沿った作業とは、作業中のショットやシーン、エレメントを、ストーリーやシークエンスの残りの部分と関連づけて捉えることを意味し、こうした作業を行うことで、アーティストは自分のショットの前後にどんなショットが来るのかを明確に知ることができる。

VFXやアニメーションのアーティストの多くは、ショット単位で作業をする。ひとつひとつのショットがストーリーの中で意味を持つが、周囲のショットとの繋がりや、より広い範囲のストーリーの流れにいかに馴染むかということが重要だ。なぜなら、ストーリーは、各ショットとショット間の関係性の中で語られるものだからだ。

流れに沿った作業を行うことで、アーティストは全体像を把握して、すべてが結びついてストーリーが視覚的に語られ、そこに一貫性があるかどうかを容易に確認することができるわけだが、残念ながら、それは必ずしもそう単純なわけではない。

課題

アーティストがプロジェクトに取り組む際に直面する課題の中には、全体の流れに沿って作業を行うことで防げるものがある。ひとつ目は、ショットの配分に関するものだ。どのようなプロジェクトでも、コストや複雑さに応じてアーティストにショットが配分され、また一つの作品に複数のスタジオが関わる場合も珍しくないため、アーティストがストーリー全体にアクセスできる保証はない。

さらに、アーティストは孤立して作業をすることが多く、ショットを仕上げるのに何時間、何日と費やすことも少なくない。通常はリファレンスが用意されるが、必ずしも必要な詳細情報が得られたり、全体の流れを明確に示していたりするわけではない。つまり、ショット自体の視覚的クオリティが高くても、ストーリーの他の部分とうまく調和しない場合があるということだ。これでは、アーティストがショットに費やす時間が無駄になってしまう。

中には、空き時間にスタジオのショットデータベースにアクセスし、他のショットやシークエンスを見て、プロジェクトへの理解を深めるアーティストもいる。これはある程度の助けにはなるが、アクセスできるショットが限られている場合もある。

IPを使用した作業も課題のひとつだ。プライバシーに対する危機感が高く、ストーリーをパブリックドメインから保護することに気を配るスタジオは、特定のショットやシークエンスに携わるアーティストの数が制限されてしまう、深刻なセキュリティ上の制約を受けることもある。こうした場合、アーティストは全体の流れに沿って作業を行うことが難しくなる。

Flix - storytelling development

アーティストのワークフローを効率化するFoundryのツールなら、こうした困難を軽減し、簡単にプロジェクトを完成させることができる。Foundryのストーリーボード作成ツールFlixは、プリビジュアライゼーションプロセスの一環として、ストーリー開発のカギとなるツールだ。Flixが異なる部門を結びつけ、組織化する役割を担うため、チーム一丸となって作業をスムーズに進めることができる。

そして、最終的にコンポジット工程へと引き継がれ、Nuke StudioHiero、HieroPlayerによって、ストーリーは説得力ある映像に仕上げられていく。スーパーバイザーだけでなく、制作に携わる全ての人々が、それぞれの担当箇所がストーリー全体にどう位置づけられるかを意識することができる。

流れの中での作業はストーリー開発プロセスに不可欠であり、素晴らしいストーリー作りを実現する。

視覚的クオリティの向上

流れに沿った作業は、ワークフローの効率化を促すだけでなく、アーティストのクリエイティビティも高めることができる。大手スタジオでは、ストーリーやそれを語る上での映像の重要性を考慮して、すでにこうしたやり方が採用されており、その影響が作品にも反映されている。LAIKAの『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』がその好例だ。ひとつひとつのショットが考え抜かれ、ストーリーに寄与するものでありながら、細部まで作り込まれていてどこをとっても芸術作品そのものだ。同時に、全体としての統一感がある。どのショットも場違いな感じがせず、映画全体のクオリティを高める役割を果たしている。

Kubo and the two strings LAIKA
Kubo and the two strings LAIKA

ストーリーの流れの中で作業を行うことで、アーティストは自分のショットを前後のショットと比較し、クオリティを合わせる努力をする。その結果、プロジェクト全体のクオリティが飛躍的に上がり、ストーリーの視覚的な説得力も向上する。

プロダクションのスタートから納品に至るまで、カギになるのはストーリーだ。流れの中で作業をすることで、最終的にストーリーを最高のビジュアルで表現することができる。アーティストはより効率的に作業を行うことで、自身の担当ショットがストーリーの中で担う意味を理解しながら、無駄な時間を省いてよりクリエイティブな作業に時間を費やすことができる。そして、すべてが調和したときに、その映像は見る者に語りかけるものになる。

FoundryのVFX編集/管理ソリューションでワークフローを強化し、流れに沿った作業を行いましょう。

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