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Image courtesy of Industrial Light & Magic

2019年 VFX業界トレンドの方向性

今年の VFX 業界、その他テクノロジー分野の方向性を示す主要なトレンドにはどのようなものがあるのでしょうか?

1. VR 技術の活用分野の広がり

2017年は没入型のブランド体験エンタープライズアプリケーションなど、さまざまな角度から VR の試行が行われた1年でした。

一般的にVR 技術の進展は、家庭用の次世代ゲームやエンターテイメントに使用される VRヘッドセットの個人向け販売台数によって評価されてきましたが、今後当面はコンシューマー分野以外への展開が進むものと予想されます。

ウォルマートやエアバスなど、VRによる従業員トレーニングを導入する企業は昨年1年間で著しく増加し、医療分野での活用も着実に増大しています。

急速な成長が見込まれる分野としてVFX 業界内で注目を集めているのが、 The Void が展開するようなロケーションベースの VR エンターテインメントです。昨年 The Void は、Lucasfilm の没入型エンターテインメント開発部門である ILMxLAB と共同で、スター・ウォーズをテーマとした VR アトラクションを制作しました。

映画に関連したロケーションベースのVR エンターテインメントは今年さらに増加すると見られており、映像世界を体感することができるこうしたエンターテインメントは、映画の世界観を拡張・発展させる役割を担います。

The Void は現在、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオマーベル・スタジオの制作による映画作品をベースにした5つの新しいVRアトラクションの開発を行っており、その第一弾である、ディズニーのアニメーション映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』のアトラクションは既にサービスが開始されています。

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2. ディープラーニングの普及 

コンピュータが大量のデータセットを解析し、課題解決のパターンを認識するディープラーニング技術。
人々の注目を集める VR に対して、私たちの日常生活により大きな直接的影響を与えると考えられるのがこのディープラーニングです。正確なWEB検索表示や Siri の音声認識などの日常よく利用する機能で、すでに活用が始まっています。

ディープラーニング市場は年平均成長率 42%で拡大し、2024 年までに 1800 万ドルに達するとする推計も発表されており、ディープラーニング アプリケーションの幅は急激に広がるものと予想されます。

注目すべき分野として、自動運転車、医療・疾病診断、石油やガスの掘削機器のメンテナンス、ウイルスおよびマルウェア対策などがありますが、VFXアプリケーションのさらなる進化からも目が離せません。

3. よりリアルなデジタルヒューマンの登場

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、ILM のデジタル技術によって蘇った晩年のピーター・カッシング演じるグランド・モフ・ターキンが登場して観客を驚かせましたが、近年のフェイシャル アニメーション技術の進歩には目を見張るものがあります。

2019 年、ディープラーニング技術(一般的には AI 技術)は、「不気味の谷」現象を越えるレベルにまで到達しようとしています。 

デジタル・ドメインには、リアルなバーチャルヒューマンの生成を専門に行うデジタルヒューマングループがあります。膨大なフェイシャルエクスプレッションやリグを使った従来のアニメーションプロセスではなく、単一カメラで顔の動きをキャプチャし、役者の演技のリアリズムを損なう分解や圧縮等は行わずに、非常に高解像度な顔を自動的に、しかも瞬時に認識、理解、再現するようコンピュータシステムをトレーニングします。

また Synthesia Technologiesは、プレゼンターや役者の顔の動きや音声をシームレスに変換する「プロフェッショナル フェイス リプレイスメント」 サービスを提供しています。このサービスは、機械学習を用いた映像コンテンツ翻訳の新しい技術を用いて、役者の唇の動きを翻訳言語の音声に同期させるもので、吹替えやリップシンクの手間をかけずに、映像コンテンツの音声を自然な形で翻訳することが可能です。

人間と見分けがつかないほどリアルなデジタルヒューマンが登場するのも、それほど先の話ではないでしょう。

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4. 物理的セットの高度化     

バーチャル / リアルタイム プロダクション技術を用いたバーチャルセットが注目を集めていることについては、これまでお伝えしてきた通りですが、現在のところ、こうした技術の活用は一部の先駆的なクリエイターに限られたもので、多くの映画においては、従来の物理的なセットをより発展させた形で使用した撮影手法が用いられています。

ILM Rob Bredow VFX スーパーバイザーを務めた『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』では、100年の歴史があるリアプロジェクション(後方映写)技術の現代版とも言える撮影方法を使用して、高解像度 4K レーザープロジェクターが最大限に活用されました。

また『グレイテスト・ショーマン』では、リアプロジェクション同様に昔ながらの撮影技術であるミニチュアセットや書き割りの背景に現代的な手法を加え、ブルックリンの街並みを撮影しました。照明に照らされた大きなテーブルの上に組まれたミニチュアセットの上空から撮影された飛行映像は、ビルの間からこぼれる街の灯りを印象的に表現しています。

また『グレイテスト・ショーマン』では、リアプロジェクション同様に昔ながらの撮影技術であるミニチュアセットや書き割りの背景に現代的な手法を加え、ブルックリンの街並みを撮影しました。照明に照らされた大きなテーブルの上に組まれたミニチュアセットの上空から撮影された飛行映像は、ビルの間からこぼれる街の灯りを印象的に表現しています。

映画制作におけるこうした最新技術の活用は、今年ますます広がることが予想されます。