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『ブレードランナー 2049』 ディストピア的世界観のテクスチャリング

Image courtesy of © 2017 Alcon Entertainment, LLC., Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『ブレードランナー 2049』制作におけるMari の活用事例

映画史上最高の圧倒的ビジュアルを実現

『ブレードランナー 2049』のVFX制作を手がけ、BAFTA英国アカデミー賞)を受賞した Framestore は、この作品のルックを作り上げるうえで中心的役割を担い、近未来のラスベガス、作品冒頭のソーラーファームやトラッシュ・メサと呼ばれる廃棄物処理場など、ブレードランナー Kが辿る荒廃した工業都市の制作を担当しました。

変化するトレンドへの対応

Framestore モントリオールでテクスチャリングチーム リーダーを務めるMichael Borhi 氏は、作業を進める中で感じた近年のアセット制作のトレンドについて、次のように言います。アセット制作は近年、規模が拡大し複雑さが増す傾向にあります。」

「手がける作品は一つとして同じものはありませんから、アプローチの仕方については常に見直す必要があります。ヒーローアセットは、2D3Dともに、その作品の世界観をより鮮明に反映しているものが多くなっています。

制作過程における演出上の変更に備えて、通常とは異なる手法でアセットを作成する必要も生じています。ショットの前後関係やカメラ位置は常に変化し、背景アセットが突然フルビューでアップになることもありますから。」

Sandra Bullock in Gravity (2013)

 

「制作作業では、スケジュールや演出上のさまざまな要因から予期せぬ修正が発生する可能性があり、効率良く対応するには非破壊的ワークフローを最大限に活用してプロダクションから要求されるクオリティと納期を守らなければなりません。」

Framestore ではこうしたニーズの高まりに対処するため 2010 年に Mari を導入し、最初に制作されたのが Alfonso Cuarón 監督作品の『ゼロ・グラビティ』です。

複雑な UV 設定が必要な大規模アセットが多く、他のテクスチャリング アプリケーションでは対応できなかったと思います。」Borhi は言います。

『ゼロ・グラビティ』以来、アセットワークは複雑さや全体的なボリュームが増大しており、Mari なしでテクスチャリング作業を行うことは考えられません。Mari は私たちのテクスチャリング プロセス、特にヒーローキャラクターや有機的な生物のテクスチャリングにおいて不可欠なツールとなっています。」

膨大なタスクの効率的処理

9 ヶ月という映像業界においては一般的であるものの、アサインされたタスクを考えれば、彼らがこの作品で担当した作業範囲は納期的にきわめて厳しいものであったと、Framestore のリードテクスチャ アーティストである Adam Goldstein 氏は言います。「ラスベガスの制作にかけられる時間は3ヶ月、これは一つの建物に平均約半日、複雑さやカメラからの距離にもよりますが、最長でも1週間ということになります。」

最初に取りかかったのは、全作業を完成させるためのプロセスの構築です。「計画通りに作業を完了するためには、特にラスベガスの街のシーン制作を効率的に進める必要がありました。

Mari 『ブレードランナー 2049』において、ラスベガスのシーンに登場する建物や車、デジタルダブルなどの主要なテクスチャリング作業、よりカスタマイズを要する作業などに使用されています。」

 

Desert roads in Blade Runner 2049

アーティストのためのツール Mari

『ブレードランナー 2049』の制作への参加は Goldstein 氏にとってある意味夢の実現でしたが、待ち望まれていた続編を手がけるプレッシャーは非常に大きなものでした。Mari ほど、繊細で細やかな処理が行えるツールは他になく、あらゆること Mari を使用したと言います。

Mari は正にテクスチャリングチームの主力ツールです。巨大なジオメトリの山をインタラクティブにペイントできるのは、Mari だけです。モントリオールのスタジオで手がけるほとんどの作品は、テクスチャリング作業のほぼすべてを Mari で行っています。

ラスベガスのシーンに登場するアセットについても、道路、地面に置かれたスピナー、モノレールの車両など、すべて Mari でテクスチャリングしました。」

この作品では Mari を他のテクスチャリングツールと組み合わせて使用しています。「ラスベガスのシーンでは 、テクスチャリングを 3 つのプロセスに分けて段階的に行いました。まずは背景チームが Substanceのプロシージャルシステムを使用して街全体を手早くテクスチャリングし、2段階目ではHoudini で生成したアンビエント オクルージョンやエッジマップとともに、プロシージャル テクスチャとタイルテクスチャの両方を使用して、カメラの動きに沿ってより詳細なテクスチャを Mari で作成しました。

時間の制約もあり、一部のポスターやステッカーなどを除き、ここでのペイント作業は最小限にとどめ、3段階目で十分な時間と手間をかけて主要な建物や背景の構成要素、水滴や街を覆い尽くす砂、ペンキが剥がれ落ちた金属面など、味のあるディテールの作り込みを行いました。

Mari はこうしたディテール表現に非常に優れたソフトウェアで、細部にこだわるアーティストもテクニカルアーティストも満足できる高精細な表現が可能です。

また汎用性がきわめて高く、多彩なテクスチャリング手法に加えプロシージャルとカスタムペイントを組み合わせたさまざまなツールを搭載しており、ユーザーに合わせて、テクニカルにもクリエイティブにも使うことができます。」

Desert scene in Blade Runner 2049
Destruction scene in Blade Runner 2049

ワークライフバランスの実現

先にも述べたように、厳しい制作スケジュールを乗り切るうえで、Mari には数多くのメリットがあります。「Mari の特長の一つは、ハードサーフェスや有機的形状といったモデルの形状にかかわらず、あらゆるレベルのテクスチャリングワークに対応し3D上で評価できる点です。」Borhi は言います。

「そしてこれは当たり前のようで作業効率とはあまり関係がないように思えますが、テクスチャの配置やその見え方をダイレクトに確認できることは緻密なマッピング作業時間を大幅に短縮でき、正確な作業に繋がります。」

こうした作業効率化によってもたらされる効果は単にビジネスレベルの話にとどまらず、仕事以外の場面でアーティストの生活の質にも大きな影響を及ぼしています。「私には子どもが二人いるのですが、Mari のおかげで、大作映画の巨大アセットの制作を手掛けながら、就業時間は今まで通り 8 時から 5 時のままです。」Goldstein 氏は言います。

「こうした仕事と生活のバランスは、私にとってかけがえのないものです。コンセプトアートからモデリング、ライティング、マットペインティングまで映像制作のあらゆる側面に関わって来ましたが、残業がもっとも少なかったのはテクスチャリングです。

これは Mari というソフトウェアの信頼性の高さゆえでしょう。数百もの 4k UDIM からなる テクスチャマップチャンネルを複数持つアセットをテクスチャリングできるのは、Mari 以外には考えられません。まずはプロシージャルに手早くテクスチャリングを行ってから、さらにプロシージャルに、あるいはマニュアルのペインティングでディテールを加えていくことができる Mari は、使う喜びを満喫することができるソフトウェアです。」

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