ライティングアーティストとしてのキャリアスタートの切り方

ライティング/ルックデベロップメントを極める

 これからキャリアをスタートさせる人にとって、映像制作の現場で実際に広く使用されているソフトウェアに使い慣れておくことは、その後のキャリアにおいて重要なポイントになる。制作現場では常に新しい才能や一緒に働く意欲的な後輩が求められており、導入されているソフトウェアに精通している人材は採用時に有利になる。

Katana Map

Katanaは、長年にわたり業界におけるライティング/ルックデベロップメントツールとしての実績を積み上げてきた。近年、Katanaを採用する企業が増加傾向にあることに伴いユーザーベースが拡大し、ライティングとルックデベロップメントアーティストに新たなチャンスを創出している。

しかし、VFXアーティストを目指す人にとっては、現場を知り、自分のスキルセットに見合った企業を見つけることも重要だ。

Katanaをパイプラインに導入している新規・既存顧客から、スタジオの内情や採用時のポイントなどについて話を聞いた。

人材育成とイノベーションの実践

インドに拠点を置き、HBOの『ウエストワールド』やAmazonの『ペリフェラル 接続された未来』といった近未来的な番組や、Netflixの『マジシャン:ミラクルはすぐそこに』のクラウドエフェクトなどで知られるFutureWorksは、自社のトレーニングプログラムFutureWorks Academyを主催する。これは、初心者レベルのアーティストにプロフェッショナルから学ぶ機会と、システム化された支援環境で実際のプロジェクトに取り組む場を提供するものだ。

FutureWorksのトレーニング部門は、アーティストやリーダーとして25年以上の経験を持つShekhawat氏により監督・運営されており、6ヶ月間のトレーニングプログラムは無料で、スキルに応じて3つのレベルから構成されている。

「私たちは一から人材を育て、継続的な学びを促進するカルチャーを目指し、多くを模索しながら努力を重ねてきました」とFutureWorksは語る。「コラボレーティブなアプローチ、クリエイティブコミュニティとの協力やスタジオカルチャーが、他社と一線を画す私たちの特徴だと考えています。私たちは、アーティストやクリエイターにとって最高の場所を提供することに全力で取り組んでいます」。

 

FutureWorks asset 1
FutureWorks asset 2

広告分野では、VFXとアニメーションの制作に特化したエジプトのスタジオ Monkeysがあり、代理店や制作会社、ディレクターと協力してストーリーを視覚化し、クリエイティブなソリューションを提供している。彼らの創り出す世界は、スタイリッシュでリアルな映像から、シュールなエフェクト、デザイン重視のアニメーションプロジェクトまで、幅広いスタイルに及んでいる。

Monkeysはものづくりへの愛情を持ち、機会均等、多様性、インクルージョンポリシーを核として、アーティストに優しい環境を提供している。「私たちは、パイプラインのあらゆる工程において、アーティストが短期間で技術向上を目指せるように指導・育成を行っています。クリエイティブかつチャレンジングな知名度の高いプロジェクトに取り組む機会をアーティストに提供することで、キャリアを飛躍的に向上させ、達成感と満足感を実感できるようにしています」と話す。

Monkeys Asset 1
Monkeys Asset 2

2013年、業界のベテランが集結して設立されたBrazen Animationは、テキサスに拠点を置き、ビデオゲームのシネマティック、アニメーション映画、エピソード番組、コマーシャルプロジェクトの制作を専門に、高品質の3D/2Dアニメーション制作を行っている。クライアントにはEpic Games、Riot Games、Electronic Arts、Blizzard Entertainment、ワーナー・ブラザース、DreamWorks、MGM Studios、Universal Picturesなどがある。

Brazen Animationは、新しいソフトウェアやプロセスの導入に意欲的なスタジオだ。イノベーションは彼らのコアバリューのひとつであり、常に前進するカルチャー、そして魂に語りかけるストーリーを伝える力に重きを置いている。

「何事にもユニークかつ大胆にチャレンジしていくことが、私たちならではの強みだと考えています。Brazen Animationの存在意義は、アニメーションの限界を押し広げ、クリエイティブなストーリーテリングを再定義し、映像表現の極限を追求する人々を後押しすることであり、これはすなわち、大胆な挑戦を応援するということなのです」。

Brazen Animation

競争の激しい業界で存在感を発揮するスタジオ

テキサス州に本社を置き、モントリオールとハリウッドに拠点を持つReel FXは、30年にわたりアニメーション制作を手がけてきた。元請け、下請けに関わらず、作品のストーリーに対する思いこそが彼らの原動力となっている。

ストーリーへのこだわりは、採用プロセスにも及ぶ。ライティングのポジションについては、応募時にアーティストが提出するデモリールの内容にかなりの重点が置かれる。

「経験の程度に関わらず、イメージを構成し、磨き上げる能力は非常に重要です。また、背景とキャラクターの両方のライティングに理解を示し、さまざまなライティングの実例を示すこともポイントです」とReel FXは話す。「長編アニメーション映画での経験があれば好ましいですが、美しいデモリール、ライティングへの情熱、チームの一員としての協力的な姿勢を持っている候補者を求めています」。

Reel FX
Reel FX

Pro Tip 1

オーストラリアのスタジオ Cumulus Visual Effectsは、映画『エルヴィス』に見られるような高品質のセットエクステンションを制作する主力スタジオとして高い評価を得ている。独立系映画市場にコスト効率の高いソリューションを提供する同スタジオには、現在、30人以上のクリエイティブなプロフェッショナルが在籍し、ディズニーやNetflix、ワーナー・ブラザース、Madman Entertainmentといったスタジオの幅広いプロジェクトを手がけている。

採用担当者の注意を引くための最善の方法は、各ポジションに必要な技術スキルによって異なってくる。Cumulus Visual EffectsのCEO William Gammon氏は、「私は写真のバックグラウンドを持ってキャリアをスタートさせたのですが、その経験が光の捉え方やクリエイティブライティングの基盤となっています。デジタル時代においては見落とされがちですが、VFXアーティストとして力を発揮するためには、写真のプロセスについても十分に理解しておくべきでしょう」と話す。

企業は、変化や課題に適応できる柔軟性を持ち、自発的に行動し、問題に対する分析ができる人材を求めている。小規模スタジオであるCumulus Visual Effectsにとって、企業文化との適合性は採用時のきわめて重要なポイントとなる。

同社のライティングテクニカルディレクターであるKieren Shinjo氏は、若手アーティストに次のようにアドバイスする。「シークエンスレベルで考える力を養うこと。シークエンス全体を通して同じアセットと、ショットごとに変化するアセットを考え、それに応じてKatanaのノードを構築すれば、グローバルでも詳細なレベルにおいてもダイナミックなワークフローを作成することができます。また、Graph State Variablesは適切に使用することで柔軟性が高まり、ゲームチェンジャーとなるので、理解しておく必要があります」。

Cumulus Visual Effects Asset 1
Cumulus Visual Effects Asset 2

シンガポールに本社を置き、インドネシアにサテライトスタジオを持つInfinite Studiosは、TVや長編映画のプリプロダクションからポストプロダクションまで手がける本格的なアニメーションスタジオだ。世界トップクラスのアニメーションシリーズにも複数携わり、グローバルなクライアントやスタジオパートナーと仕事をする機会にも恵まれ、いくつものワークフローやパイプラインにおける困難で刺激的な作業経験が、制作スタジオとしての独自の価値に繋がっている。そして最近導入されたFoundryのKatanaによって新たな経験を得ることになる。

「光がどのように反応するか、見た目にどのように影響するか、物体の表面がどのように見えるのか、ライティングの原理を理解しライティングできることがアーティストとしての重要なスキルです」とInfinite Studiosは説明する。

Infinite Studios Asset 1
Infinite Studios Asset 2

「パイプラインの最終段階に位置するライティングとコンポジットにおいては、問題解決能力も重要です。いつ、どのような問題が発生するか予測がつかない中で、常に手際良く対応し、迅速に処理する判断力が必要になります。

テクノロジーのアップデートも重要だと考えています。テクノロジーの進化や変化の時代において、アーティストは、NukeのCopyCatのような最新テクノロジーを駆使して、より美しいアートを効率的に作り出すことができるようになりました」。

Pro Tip 2

キャリア開拓のチャンスは今

『スパイダーマン:スパイダーバース』『ホワット・イフ...?』のような壮大なアニメーションから、『ジュマンジ/ネクスト・レベル』『アウトポスト』などの映画まで、Katanaはさまざまな作品において、Weta Digitalや DNEG AnimationIndustrial Light & Magic (ILM)といった世界的大手スタジオに幅広く活用されている。その優位性や多様性から、早い段階でKatanaのスキルを習得することは、学生にとって大きなアドバンテージとなることは間違いない。若手アーティストが業界標準のツールを使いこなすことができれば、自身のキャリアを確立し、道を切り拓くうえでプラスとなる。好きなツールを見つけて、望むキャリアを切り拓くチャンスは今だ。

 

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Katana詳細

Katanaのヒントとコツについては、ラーニングサイトをご覧ください

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